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健康特集
2017/01/13

日本人の適切な睡眠時間と睡眠不足からくる病気

m.funaki
ニドーブログ

6時間未満と8時間以上は危険!睡眠時間で心疾患を予防?

年齢とともに眠りの質が悪くなった、とはよく聞く話。しかし、英米で行われた「生活の質(QOL)」に関する二つの調査研究によると、むしろ加齢とともに精神状態が安定し、ぐっすり眠れるようになるらしい。調査対象は50代後半の男女だから年齢相応の落ち着きと余裕が睡眠の質にも影響しているのだろう。逆に、この年齢で睡眠障害を抱えている場合は、何かしらの原因──病気、もしくは家庭の憂いというやつかもしれない──を疑ったほうがいいようだ。

 両調査では、睡眠時間が6~8時間のグループが最も心身の状態がよく、6時間未満や8時間以上ではQOLが低下し、心疾患発症リスクが上昇すると指摘されている。事実、この3月に発表された45歳以上の男女、3000人を対象にした米国の別の研究では、睡眠時間6時間未満のグループで脳卒中や心臓発作の発症リスクが2倍、うっ血性心不全の発症リスクが1.6倍に上昇することが示された。一方、8時間以上の睡眠は狭心症の発症リスクを2倍に、冠動脈疾患の発症リスクを1.1倍上昇させるようだ。

 睡眠不足は食べ物に対する脳の反応を促進して、過食を招くことが知られている。結果的に肥満や糖尿病、脂質異常症などの代謝性疾患を引き起こし、しまいには致命的な一撃を心臓にもたらす。

 しかし、8時間以上の睡眠が心臓に与える悪影響のメカニズムは不明のまま。今後の研究結果を待つ必要があるが、一つ考えられるのは、睡眠時無呼吸症候群で中途覚醒があるなど、睡眠の質そのものが悪いこと。睡眠時無呼吸症候群は高血圧を発症、悪化させる要因であり、近年は夜間の突然死との関連で注目されている。欧米では肥満者の病気だが、日本人は下顎が小さいために舌がのどの奥に落ち込んで気道をふさぐケースが少なくない。9時間、10時間眠ってもスッキリしない場合は疑ってみるべきだろう。

 ともあれ、個人差はあるにせよ睡眠時間は6~8時間が最適のようだ。うまくコントロールできれば心血管疾患の予防につながるかもしれない。

 

睡眠不足でアルツハイマーに?

生活のリズムと寝室の見直しを

何年か前、米ワシントン大学の研究グループが「睡眠不足はアルツハイマー病(AD)の発症要因」という研究結果を報告した。マウスの睡眠を意図的に奪って観察した結果、ADの発症の一因とされる「アミロイドβ(いわゆる老人斑)」の脳内蓄積が促進される、というのだ。

 今年3月、同じグループから英国の医学誌「JAMA神経学」に、今度は人を対象とした研究の続きが報告された。

 今回の対象者は45~75歳の健常者145人。もともとADの長期研究のためにボランティア参加している人々だ。事前に採取した骨髄液のサンプルから既に32人のアミロイドβ濃度が高く、ADの前段階にあることが判明している。ただし、認知機能には影響していない。

 参加者は2週間、就寝時間と起床時間、昼寝の時間などを記録。同時に手首に着けたセンサーで睡眠中の体の動きをモニターし、客観的な睡眠時間を計測した。その結果、すでにアミロイドβ蓄積の兆候がある32人は、ベッドに収まっているわりに睡眠時間が短く、1週間に3日以上、昼寝を必要とすることが判明したのだ。

 研究者は「最も睡眠効率が悪かった被験者は、睡眠がよい人よりも5倍以上、初期ADを発症する可能性が高い」としている。

 現時点で睡眠障害がアミロイドβの蓄積を誘発するのか、逆にアミロイドβの蓄積が睡眠障害を引き起こすのかは不明。ただ、睡眠に問題があり、家族にADの既往者がいる場合は生活のリズムを考え直したほうがいい。

 近年、ADは自覚症状が出る以前の予防に焦点が移っている。自覚症状が出てからでは、残念ながら対応が遅いというのだ。

 薬以外の予防手段は、有酸素運動の継続、緑黄色野菜やDHA豊富な青魚を食べる、などこれまでにも指摘されていることを続けるほかない。今回の研究報告からすると、寝具や寝室の環境の見直しも効果がありそうだ。

 この研究は、現在もさらに若い被験者を対象に継続中。結果次第では、睡眠導入剤がAD予防薬になる日が来るかもしれない。

参照サイト

男の健康:http://diamond.jp/articles/-/23753